気仙沼の報告 その11

  平成25年3月10日

●平成25年3月10日 

 8時39分 気仙沼着。
 今回は、横浜和の会に参加して下さっているWご夫妻とご一緒の訪問です。
 明日は震災からちょうど2年目。各地で慰霊を行っていきたいと思います。
岩手県県職員のS.Tさんも念入りに予定を組んで下さっているようです。

【岩手県 大船渡市】
◎大船渡市社会福祉協議会
宮城県気仙沼市から岩手県大船渡市へ移動。大船渡市Y・Sセンターに参ります。
ここには、津波で流されてきた写真や位牌などが展示されています。
あいにくこの日は、写真は別の場所で公開されているとのことでした。津波で流されてきた位牌その他を拝見しました。
大船渡市Y・Sセンターには、お風呂やプールなどもあります。
午前中から近所の方たちが、お風呂に入りに来られていました。
「朝ぶろだ~」と笑っています。まだ寒いので、ゆっくり温まっていって下さいね。

◎サン・アンドレス公園・観音様
 その後、大船渡市市役所近くに建立された観音様の立っている場所で慰霊をしようと思ったのですが、雨が降って来たので予定を変更。
サン・アンドレス公園内の慰霊碑へ向かいます。
サン・アンドレス公園は海沿いの公園で、海からの風がとても強く吹き付けます。
慰霊碑は数日前に完成したばかりとのことでした。碑のところで今日最初の慰霊をさせて頂きました。 
 雨も弱まってきたので、ふたたび観音様のところに戻り、慰霊をさせて頂きました。高さ4メートル位でしょうか。
慈愛に満ちたお顔が見守って下さっているようです。

【岩手県 陸前高田市】
 大船渡市から陸前高田市へ。朝方よりだいぶ風が強まってきました。雨交じりでとても寒く感じます。

◎普門寺
 普門寺には、身元不明の方のご遺骨が埋葬されています。墓地は海を見下ろす高台にあります。
名前の代わりに番号が刻まれた墓石が25基、置かれています。
犠牲になられた方たちの無念を偲びながら、慰霊をさせて頂きました。風が強く、お供えの紙コップなどが吹き飛ばされていきました。

◎追悼式会場
 昼食後、陸前高田市主催の東日本大震災追悼式会場へ。
式は午前中に、遺族の方々ご参列のもと執り行われ、正午から午後3時までは一般の人も献花できるようになっています。
小学校の体育館内に献花台がありました。
陸前高田市では約2000人の方が亡くなったり行方不明になっています。
白菊を一本手向けさせて頂きました。
皆さんの御魂が、どうか少しでも慰められますように。

◎気仙大工左官伝承館
 次に、気仙大工左官伝承館へ。
気仙大工の技術が隅々まで活かされている民家を見学しました。
釘一本使わない民家は、地震があればある程、木の組み方が締まって頑丈になるそうです。
今回の地震でも、民家の土塀の土が少し崩れただけでした。図らずも気仙大工の技の高さが実証されたようなかたちです。
 庭には、震災後、神戸から寄贈されたガス灯「希望の灯り」が灯されていました。
場所と時は異なれ、震災という体験と悲しみを共有する方々の想いが一つになって、私たちに光の道標(みちしるべ)を示してくれているようです。

◎奇跡の一本松
 その後、「奇跡の一本松」を拝見しました。
土埃を巻き上げて強風が吹きまくっています。報道関係の方たちが大勢来ていました。
「奇跡の一本松」はまだ完全には復活しておらず、工事用ネットでおおわれている状態です。
その枝ぶりが震災前と異なっているので、修正しなければならないとのことでした。
「奇跡の一本松」の近くに新設された慰霊碑で慰霊をさせて頂きました。

【宮城県 気仙沼市】
◎早馬神社
 今日の締めくくりは気仙沼市唐桑町の早馬神社さんです。
去る2月24日、NHKの「小さな旅」で、唐桑町が取り上げられました。
復興に向けて力強く歩む唐桑の漁民と早馬神社の絆が描かれています。
早馬神社の梶原忠利宮司さんも、冒頭で取材を受けてお話しされています。大漁祈願の祭祀の様子も映されていました。
早馬神社が漁師さんたちの心の拠り所として、復興にとても大きな力を与えていることがよくわかります。

 今回は、梶原忠利宮司さんと梶原壮市禰宜さんに無理なお願いをしてしまいました。
正式参拝の後のお二人のお話を撮影させてもらうというお願いです。
禰宜さんは震災当日の状況を、宮司さんは震災後の復興の歩みを、それぞれ語り部としてお話して下さいます。

お二人のお話は何回聞いても感動します。温かいお人柄、被災者たちへの思いの深さが、その語り口からにじみ出てくるのです。初めて早馬神社さん参拝したときから、私はお二人の大ファンなんです。
毎月神社にお参りして宮司さんと禰宜さんにお会いするのも、気仙沼に来る大きな楽しみの1つです。
お二人のお話を、神社に参拝できない人にも是非お見せしたくて・・・。

厚かましいお願いにもかかわらず、お二人はビデオ撮影を快諾(?)してくださいました。
私の所有するビデオカメラ付属のマイクの線が短いために、お二人(胸元のマイク)とカメラとの間が近過ぎて、お話しし辛かったかもしれません。申し訳ありませんでした。
 撮影後、お二人とも「緊張した」と照れておられました。イエイエ、そんなふうには見えませんでしたよ!いつもどおりの穏やかで温かい語り口でした。

次回は、雑談しているときの様子を、こっそり隠し撮りしちゃおうかな。宮司さんは実はとてもお茶目なんですよ!禰宜さんは誠実そのものですし。親子でいらっしゃりながら、対照的なところがまた素敵です。お二人の人間味溢れる様子を、是非ご紹介したいものです。

 夕方、S.Tさんに一ノ関まで送って頂き、W夫妻は帰京されました。
皆さん、お疲れさま。
そしてありがとうございました。