気仙沼の報告 その15

  平成25年6月9日

●平成25年6月9日 8時39分 気仙沼着。
今回は3回目の水墨画教室の日です。水墨画講師のK.Sさんと、今回は、横浜和の会参加者のT.Kさんもご一緒です。
岩手県県職員S.Tさんの車で、水墨画教室の会場に向かいます。

◎気仙沼市 階上(はしかみ)公民館
 いつものように机と椅子を倉庫から運び出し、会場に配列します。
4人で1つの島を作り、8つの島を作りました。そして、机上に道具やお手本を配っていきます。
今朝は9時半ごろから、前回までの参加者も手伝いに来て下さっています。嬉しいことです。
こうして気仙沼市内の住民の方たちの中に絆が生まれて行ってくれればいいな。
 ところで、今回の水墨画教室では、大事なミッションがあります。
10月の気仙沼市階上公民館での文化祭に、作品を出品するというものです。
 そのために、K.Sさんも、書きやすい題材として「滝」を準備してきて下さいました。
K.Sさんは簡単だとおっしゃいますが、素人の目には、これまでよりもさらに難しそうに見えます。
 2時間で描き上げるために、K.Sさんはお手本にいろいろ工夫をして下さっています。
描いていく順番にお手本を6種類用意して下さいました。
それぞれの机では、お手本を見ながら、「滝」を描いていきます。
「うまく描けない」「あんたのはうめごど」など、おしゃべりや笑い、ため息などがそこここから聞こえてきます。
始めは滝に見えないような画でも、滝にかかる木の枝や梢の葉などを加えていくに従って、だんだん滝に見えてきました。
 そして、今月お誕生日の方にはK.Sさんの描かれた「朝顔」がプレゼントされます。
もらった方はとても喜ばれ、他の方たちは羨ましそう・・・。
今回もらえなかった方たちにも、次回かいつか、K.Sさんがプレゼントして下さいますよ。
楽しみにお待ちくださいね。

 片付けも、今回は各自、小皿の墨をタオルで拭いてもらい、筆も水入れで洗って、タオルで水気を切ってもらいました。
そして、水入れはバケツに水を空けてタオルで拭きます。
皆さん、協力して下さって、何と10分くらいで片付けが終わってしまいました。
最初は1時間かかったのに、すごい進歩です!
 8月は、S,Tさんの写経。これもとても楽しみです!!

◎気仙沼市 復興屋台村 気仙沼横丁
 気仙沼横丁には、定食屋さん、居酒屋さん、ラーメン屋さん、鮮魚店など20軒以上ものお店が軒を並べています。
通路にも椅子やテーブルを出して、ビールを飲んでいる人も大勢います。
一通りメニューを見てから「とんとことん」さんへ。
お店の中は12人も座ればいっぱいです。
実直そうなご主人と、とても感じのいい奥さま(多分)の二人で切り盛りされています。
このお店は、震災前は大島にお店を出していらしたそうです。
一時期より客足は減ってきたとのこと。季節や曜日にもよるのでしょうが、せっかくお店を出すまでに頑張ったのですから、これからも益々流行ってくれますように。
私は「海宝丼」を頂きました。今が旬のウニが乗っています。ホタテも新鮮です。
とても美味しく頂きました。ご馳走様でした。

 復興商店街は気仙沼市内に何箇所もあります。
どのお店の方も、本当に一生懸命仕事をなさっていて、とても明るく気持ちよく接して下さいます。
どのお店も繁盛しますように。本当に微力ですが、月1回だけでも利用させて頂きますね。

◎気仙沼市 さかなの駅
 食事の後、「さかなの駅」へ。魚介類その他、気仙沼市の物産が揃っています。
「COCO唐(ここから)」の商品もあります。気仙沼は 鰹の水揚げ高が16年連続日本一です。
鰹の半身が何と300円! まるまる1本でも600~800円と驚くほどの安さです。
東京まで生を持って帰るわけにはいきませんが、ナマリ節を買いました。
15年ほど前東北を旅したとき、釜石の市場で買ったナマリ節がとてもおいしかったので。

◎気仙沼市 唐桑町 お地蔵さん
 津波で流された住宅地跡のお地蔵さんのところで慰霊をさせて頂きました。
高さ60センチぐらいのお地蔵さんには、赤い毛糸の帽子と肩かけがかけてあります。
お地蔵さんが寒くないようにとの思いやりでしょうか。
それとも、亡くなった家族の方をお地蔵さんに重ね合わせているのでしょうか。
住宅地跡には大きな瓦礫は残っていませんが、足元は茶碗の破片などで埋め尽くされています。
歩くとザクザク ガシャガシャと音を立てます。
ここで生活していた方たちは、今どこにいらっしゃるのでしょうか。
いつの日か、再びここに戻ってこられるのでしょうか。
海から吹き来る潮風が 答えを運んでくることはありません。

◎気仙沼市 唐桑町 地福寺
 地福寺の供養塔のところで慰霊をさせて頂きました。
ここは3月にも一度慰霊をさせて頂いたところです。
61名のお名前が、物故者供養塔に刻まれています。どうか安らかにお眠り下さい。
そして、天界からこの地のご守護を強めて下さいますように。

◎気仙沼市 早馬神社
 今日も最後は早馬神社さんにお参りさせてもらいます。
梶原忠利宮司様は、最近、震災疲れが出てこられたとのことでした。
ひとまず養殖漁業も復興し、ほっとされたのでしょうね。
 震災さえなければ、今頃は老後をのんびり過ごされていたのではないでしょうか。
奥様と温泉に行かれたり、大学時代のお友達と旧交を温めたりしながら、気仙沼の漁師さんたちの安全と豊漁を祈る日々を送られていたことでしょう。
震災後、養殖事業復興のために陣頭指揮を取り、ご尽力なさってきた宮司様が、そのお疲れを早く癒して下さることを、心から祈っています。

 神社をお暇(いとま)して、一路 一ノ関に向かいます。
ほのかに茜色(あかねいろ)の山際(やまぎわ)を境に、田んぼや野原が沈んでいきます。
田んぼは田植えが終わったようです。
初夏の夕暮れの ありふれた田園の一コマです。
なのに何故か、感謝の想いが胸に込み上げてきます。

 今日も1日、よい1日でした。S.Tさん、K.Sさん、T.Kさん、ありがとうございました。