気仙沼の報告 その13

  平成25年4月14日

気仙沼の報告⑬ (平成25年4月14日)

●平成25年4月14日 8時39分 気仙沼着。
 太陽が眩しく、雲ひとつない青空が広がります。
 こんなに暖かいのに、桜はまだ咲いていないところに「北国」を感じます。
 今日は階上(はしかみ)地区で2回目の水墨画教室です。初回よりもさらに進化した教室になりますように。
 K.Sさんも気合いを入れて準備して下さっています。
 いつもどおり駅前に迎えに来て下さっている岩手県県職員S.Tさんの車で、階上公民館へ。

◎水墨画教室
 9時には公民館に到着。
段ボール箱に3箱くらいの荷物や複数の紙袋を2階の会場へ運びます。
既に社協の方たちが机を並べ始めて下さっていました。
机や椅子を並べ、机の上に水墨画の道具を並べていきます。
1人分の道具は、濃淡2種類の墨を入れる小皿2枚、筆洗い用のプラスチック容器、小さいタオル、筆、練習用半紙5~6枚、そしてお手本です。
これらを35人分用意します。
次に、プラスチック容器に水を入れていきます。並べる物がたくさんあるので、結構大変です。
何とか10時開始に間に合うようにセッティングを終えることが出来ました。
 29名の応募があったそうですが、欠席者もいらしたようです。
それでも、準備した席は、2~3名分を除き、全て埋まっています。

 今日の画題は「チューリップ」。花、茎、葉っぱと、全て曲線の組み合わせです。
皆さん、黙々と、お手本を見ながら曲線を描いています。2回目なので、皆さんの手の動きも、少し滑らかかな?
 線だけでなく、花や葉っぱに、墨で色を付けます。
色の濃淡を、力の入れ加減で調節するのですが、これがまた難しそうです。
 結局、あっという間に12時です。なかなか思うようにいかなかったかもしれないけれど、水墨画の奥の深さを、充分楽しまれたのではないでしょうか。

 今回は、時間のある方に後片付けを手伝って頂きました。
小皿や水入れや筆など、1つ1つ、洗って、拭いて、箱に納めます。机や椅子も、倉庫にしまいます。
約40人分もあるので、かなり大変です。でも、今回はみなさんのお陰で、30分で終わりました。

 この水墨画教室は、単に水墨画を楽むだけでなく、地域のコミュニティ作りのためという目的も持っています。
震災後、壊れかけているコミュニティを復活させたり、新たにつながりを築いたりするために、準備や後片づけに皆さんが参加して下さることは、重要な意味を持つと思います。

 皆さんが帰られた後、社協の方たちとお茶を飲みながら、しばしおしゃべり。
2回目なので、私たちもだいぶ慣れてきました。次回はさらにいい会にしたいと思います。

◎お魚いちば
 今日の昼食は「お魚いちば」というレストランで頂きました。
広い店内では、いろいろな水産加工品も販売しています。日曜日だからか、大勢のお客さんで賑わっていました。
「お魚いちば」は、三陸でも最大規模の水産加工会社「阿部長商店」が経営しています。
実は、阿部長商店も地震で甚大な被害を受けました。

9つの水産工場のうち8つが被災したのです。主要戦力である工場を8つも失うことは、どんなに大きな痛手だったでしょうか。当然、経営も非常に苦しくなります。仕事を再開する目途も立ちません。
しかし、社長の阿部泰浩氏は、800人の従業員を一人も解雇することはありませんでした。
全ての従業員の雇用を守った上での復興に挑むことを決断されたのです。

また、観光部門の5つのホテルを避難所として解放し、被災者を積極的に受け入れるようご尽力なさいました。
完全な復興には遠い遠い道程(みちのり)だと思いますが、震災の前以上に発展して、地元の復興を牽引(けんいん)していってくださるよう、祈らずにいられません。

◎早馬神社
昼食の後、早馬神社さんに参拝。
神社の石垣の下にある竹藪がきれいに刈られていました。
海から太陽がまっすぐに神社に射し込んできます。明るくなったけれど、風も強く吹き込んでくるとおっしゃっていました。
今日は、梶原忠利宮司さんは横浜のほうにご出張ということでした。
梶原壮市禰宜さんも夕方には神奈川県の二ノ宮に向かわれるとのこと。お忙しい中、参拝させて頂きありがとうございました。

◎津波体験館
 先月「COCO唐」の手作りの品を購入しましたが、今回も津波体験館に寄らせて頂きました。
肩から下げるバッグやペンケース、ポシェットなどを買わせて頂きました。
色鮮やかな大漁旗のモチーフが気に入っています。人気があって、なかなか手に入らないそうです。
ネットでも購入できるそうなので、よかったら検索してみてくださいね。

◎共徳丸・観音寺
 午後3時半過ぎ、気仙沼市内にある300トンの漁船、共徳丸のところで慰霊をさせて頂きました。
船主さんの強い希望で、この漁船も近々解体されるそうです。
遺構として残すか否か、賛否両論あったそうです。確かに住民の方たちにとっては、生活の中で毎日目にするのはお辛いと思います。

 慰霊の2か所目は、観音寺の観音さまのところです。
観音寺は延暦寺の末寺で、和銅年間(709年)に建立されました。最澄が根本中堂に灯した「不滅の法灯」を受け継ぎ、山形県立石寺・岩手県中尊寺と並んで「東北三灯」に数えられる名刹です。
観音さまは震災後2年目に作られました。少し傾きかけた夕陽を受けて、穏やかなお顔が被災地を見守って下さっています。

 夕方18時過ぎ、一ノ関駅に到着。 
 今日もいい1日でした。
名残惜しい気持ちを残して、一ノ関を後にします。
 S.Tさん、K.Sさん、ありがとうございました。