気仙沼の報告 その26

  平成26年7月21日

平成26年7月21日 
 気仙沼駅前のホテルを8時半ごろ出発。今回は大学生8名も参加しました。その大学生の泊まっているホテルに迎えに行き、まずは地福寺へ。
 地福寺のある杉ノ下地区では93名の方が犠牲になられました。海岸線にはお墓があるのですが、墓石は皆、倒れたり壊れたりしています。津波の威力を物語っています。
そのすぐ近くに岩井崎国立公園があります。なんと、明後日23日は天皇皇后両陛下がご訪問になるそうです。我々は露払いみたい。そんな偶然にちょっと誇らしいような気分です。
公園の松林を抜けると青い外海と大空が眼前に広がります。今日は天気も特に良く、波がキラキラ輝き、磯に波がぶつかるたびに白い波頭が砕けます。学生たちも磯に降りてすっかり童心に。
30分くらい遊んでから、階上(はしかみ)公民館に向かいました。


●気仙沼市 階上公民館
 階上公民館に来た目的は、元船乗りK.Kさんにお会いするためです。K.Kさんは階上公民館の管理人をされています。もう80歳に近いのに元気いっぱい。
 2時間くらい歓談。船乗り時代に世界中を周ったお話には興味が尽きることはありません。
 でもその裏には想像もつかないほどの辛い苦しい経験がおありです。笑いながら
「漁師は船が出港したら、することねえからすぐ寝るんだ。楽なもんだよ」
と仰います。
アリューシャン列島などでの壮絶な体験もさらりと話されます。飛び散った波が瞬時に凍りつくため 電線などはあっという間に直径10センチくらいになるそうです。それを棒で叩き割ります。
そんな厳寒の中でも、漁は半袖で行います。
「過酷なんてもんじゃあなかったよ」
 瞬間、厳冬の北の海を見晴るかすような遠い目になりました。でも、すぐに
「面白かったなー」
と顔がほころびます。
 学生8人に順番に「産地はどこだ?」と聞いて行きながら、K.Kさんご自身のそれぞれの場所に関する思い出を語ります。まるで地元の人みたいな詳しさと記憶力には舌を巻きます。
 奥さんの体調があまりよくないとのことでした。もう1人の管理人の方も入院されて、今はK.Kさんが毎日出勤とか、お疲れの出ませんように。


●気仙沼市 大谷海岸 ラーメン屋さん
 昼は、昨年10月に来たことのあるラーメン屋さんで頂きます。こちらのご主人のお嬢さんは19歳で津波の犠牲になられました。結婚を間近に控えてのことです。昨年以来ずっと再訪したいと思っていたお店でした。
お店は10名が入るともう満席状態。学生たちは思い思いのラーメンを注文しています。出汁の聞いたおいしいラーメンです。お勧めラーメンはイカや貝類も乗った豪華版。しかも麺はワカメの練り込んである特製麺です。おいしそう!
今日は奥さんはお弁当を売りに行っていて、店にはご主人と手伝いの女性の2名だけでした。ラーメンを食べた後、S.Tさんがご主人にいろいろ質問します。
「最近はお店はどうですか」「お弁当は売れてますか」「夜は眠れてますか」
昨年10月にも、客足が減ったことは書きましたが、やはり今も少ないそうです。土地代も払わなければならず、経営状態は相当苦しいのではと想像されます。また、お弁当も450円ですが、多品種を毎日メニューを変えて作らなければならず、容器代や配達なども入れると殆ど利益はないそうです。さらに、ご主人も奥さんも体調が悪く通院されていて、月々の医療費は5~6万円。
飲食業はとても体力の要る仕事です。朝も早くから買い出しや仕込があるでしょう。また食料品だから鮮度が大切なので、気を使いますし無駄も多いでしょう。
最近はようやく少し夜眠れるようになったけれど、ときどきは
「なんで(娘を)助けてやれなかったんだろう」
と思うこともあるそうです。
物静かなご主人の心痛は想像してもしきれません。ただ何とか頑張ってほしいと願うばかりです。
帰り際、かき氷をサービスしようとしてくださいました。前回もリンゴを一袋下さいましたね。学生たちが多いせいでしょうか。亡くなったお嬢さんと同年代くらいですものね。
また来ます!お体を大切になさってください!!


●気仙沼市 津波体験館
 昼食後は津波体験館に行きました。津波の体験の後は館内で説明を聞きながら展示物を見せて頂きました。迫力ある映像に、津波の恐ろしさが多少なりとも伝わったのではないでしょうか。


●気仙沼市 早馬神社
 最後は早馬神社さんです。梶原忠利宮司さんと息子の梶原壮市禰宜さんのお話を久々に拝聴しました。被災者の体験を直接伺うのは、新聞やテレビで見聞きするのとは全く違います。お二人のお話は何度拝聴しても、感銘を受けます。ありがとうございました。


 今回は大学生8名も同行しました。昨日は陸前高田市の仮設住宅で、4名の方たちと交流したそうです。仮設住宅の方たちも学生たちに心を開き、普段は見せないいいお顔だったそうです。別れ際には涙を流される方もいらっしゃったとか。
 やはり若い人の力って凄いですね!


今日もとてもいい1日でした。
早く、全ての被災者に安らぎが訪れますように。


S.Tさん、ありがとうございました。学生たちにかけがえのない学びの機会を提供して下さり、また細やかな心配りで学生たちの学びを促してくださいました。
学生の皆さん、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。